7月の植物

セイヨウニンジンボク Vitex agnus-castus / シソ科

  • セイヨウニンジンボク
  • セイヨウニンジンボクの果実

西アジア、南ヨーロッパが原産の落葉低木。以前はクマツヅラ科でしたが、DNAの分類によりシソ科となりました。高さ2~3m、葉は向かい合ってつき、一つの葉には細長い葉が5~7枚、手のひらのような形になっています。葉裏は細かい毛がたくさんあり白っぽく見えます。全体に香りがあり、顔を近づけると香るほどです。花は79月で、枝の先端に小花を円錐状につけます。一つの花は大きさ1㎝ほどで淡紫色、ラッパ状の花は先が5つに裂けて反り返り、4本のおしべが花びらより飛びだしています。その後直径3㎜ほどの球形の果実ができます。果実を香料やハーブとして利用するようです。乾燥にも強く丈夫なので、近頃庭木としてよく植えられています。

2021.7

ボタンクサギ Clerodendrum bungei Steud. / シソ科

  • ボタンクサギ
  • 咲き始めの様子

中国南部原産の落葉低木。亜熱帯では常緑です。高さ1mほど、ハート形で少しぎざぎざのある葉が向かい合ってつきます。枝の先に淡紅紫色の花を密に半球状につけます。満開になると直径 10cmほどのくす玉のようで見ごたえがあります。一つ一つの花はラッパ型、花の筒の部分は細く 2.5cm 位、先は5つに裂けています。咲き始めはおしべもめしべもまっすぐに突出していますが、咲きすすむにつれおしべは外側に丸まっていきます。つぼみは濃い紅紫色で、咲き始めの花序の濃淡もきれいです。少し残念なのは香り。「クサギ」と付くだけあってお世辞にも葉や茎はよい香りではありません。花の香りは良いですが漂うほどではないので遠目に鑑賞するのがよいでしょう。地下茎で増え、数m離れたところからもひょっこり生えてきます。観賞用に栽培されますが、逸出して野生化することもあるようです。

2018.7

オニユリ Lilium lancifolium Thunb. / ユリ科

  • オニユリ
  • 根が出ているオニユリの球芽

グアム東部、中国、朝鮮半島、日本に生育する多年草。食用として古くに中国から渡ってきたともいわれます。高さ1~2m、先のとがった細長い葉を互い違いに出し、葉のもとに黒紫色の球芽(むかご)をつけます。オニユリは 3倍体で種子ができないことが多く、繁殖は球芽が落ちて芽生えることで行われます。観察園のものも球芽から育てました。
7~8月、茎の頂上に着く花は 2~20個で、株が大きいほどたくさん花がつくようになります。一つの花は直径 10cm位、オレンジ色の花びらは強くそり返り、黒紫色の斑点が見られます。6本の雄しべと 1 本の雌しべがあります。球根はゆり根として食用にもなります。市販されているゆり根はコオニユリを元に育成された栽培品種が多いようです。食用になるユリの種類は一部です。球根に毒を持つものもあるので注意が必要です。

2018.7

ミツバ Cryptotaenia canadensis (L.) DC. subsp. japonica / セリ科

  • ミツバ
  • ミツバの花(左)と果実(右)

日本全土、朝鮮、中国、南千島などに分布する多年草。茶わん蒸しやお吸い物に添えられていて、スーパーでおなじみの野菜です。さわやかな香りが好まれて江戸時代から栽培されている、和のハーブの一つといえます。林の中の木陰に生え、野生では高さが30~90㎝ほどになり、おなじみの3つに裂けた葉を互い違いにつけます。茎の頂上と葉の付け根から花茎をだし、6~7月に直径2mmほどの白い小花をまばらに咲かせます。その後、長さが3~4mmの円柱が2つくっついた楕円形の果実をつけます。こぼれ種でよくふえ、観察園にもいたるところに生えています。茎と葉を食用にし、栽培方法によって「根三つ葉」、「糸三つ葉」、「切り三つ葉」など色々な呼び方があり、地方によって好みがあるようです。

愛知県はミツバの生産量全国第2位です。1,3位の千葉県、茨城県と合わせて50%近くを3県で生産しています。

2016.7

ニガクサ Teucrium japonicum Houtt. / シソ科

  • ニガクサ
  • 花の拡大

日本全土と朝鮮に分布し、少し湿ったところに生える多年草。高さ30~70㎝、地中に地下茎をのばしてふえ広がります。茎の断面は四角く、先のとがった楕円形の葉を向かい合ってつけます。葉のふちにはぎざぎざです。茎、がく、葉裏の葉脈に細かな毛があります。7~9月に茎の先端や、先端近くの葉のわきから花茎を出し、長さ3~10㎝ほどの穂状に薄紫色の小さな花を咲かせます。一つの花の長さは10~12mm、筒状の花びらが上下に分かれ、唇のような形をしていることから唇形花(しんけいか)と呼ばれます。ニガクサでは下側の花びら(下唇)が大きくて目立ちます。4本の雄しべと1本の雌しべが飛び出しています。シソ科の花はこのような形をしています。

夏の暑さにも負けず、元気に花を咲かせています。

2016.7

イヌビワ Ficus erecta Thunb. var. erecta / クワ科

  • イヌビワの花(左)と熟した果実(右)
  • 雄花の中のイヌビワコバチ(矢印)

関東より西の低地の林内に生える落葉低木。雌雄異株で成長が早い木です。「ビワ」とついていますがイチジクの仲間で、よく見ると親指ほどの実はイチジクそっくりです。イヌビワの花はこの実の中にあります。イチジクがプチプチしているのは無数の小さな花が咲いてできた後の種子なのです。オスのイヌビワの実の中ではイヌビワコバチというごく小さな昆虫がすんでいて、両者は共生関係にあります。イヌビワはイヌビワコバチにすみかを与える代わりに、花粉を運んでもらっているのです。花粉を体につけたメスは実の中に入り込んで卵を産みますが、メスの木の花には花のつくり上産卵できず、花粉を運ぶだけになってしまいます。おかげで雌の木の実は黒く熟します。はねを持って移動できるのはメスだけで、オスは一生実の中で暮らします。すみかになるのはオスの木の実です。

また果物のイチジクはメスの木だけで実ができる品種を使い、日本には虫もいませんのでご安心を。

2015.7

サルビア・ウリギノサ Salvia uliginosa Benth. / シソ科

  • ウリギノサの花
  • ウリギノサの葉の油点

南アメリカが原産の多年草です。沼地や湿地などに自生しているので、ボッグ(沼地)セージとも呼ばれます。庭や公園などにもよく植えられていますが、観察園では青い花の色素の研究のために育てています。四角くて細い茎は高さ1.5m位になり、茎の先端に直径2㎝ほどの水色の小花を穂のようにつけます。葉のわきからも枝を出し、次々と花を咲かせます。風にゆられる姿はたおやかで涼しげです。種はできず、地下茎を伸ばしてふえます。

シソ科の植物は、茎が四角く、細胞のすき間に油滴を含んでいるのが特徴です。油点といい、葉の裏を透かして見るとつぶつぶが透き通って見えるのがよく分かります。葉をちぎったりもんだりすると、その油が揮発して独特な香りを放ちます。ミントやラベンダーなども同じシソ科で油点を持っています。

2015.7

ジャノヒゲ Ophiopogon japonicus (Thunb.) Ker Gawl. / ナギイカダ科

  • ジャノヒゲの花と種子
  • 葉が長いもの(40㎝以上)をナガバジャノヒゲといいます。

山林の林床に生育する、常緑の多年草で「リュウノヒゲ」とも呼ばれます。庭などにも植えますが、園芸品種の方が多く使われているようです。地際から長さ10~30㎝の細長い葉が束になって出ます。夏には花茎を出して薄紫色の花を下向きに咲かせますが、弓なりにしだれた葉に隠れてしまって、庭に植えてあっても気がついていない方が多いかもしれません。花びらは6枚、雄しべは6本、雌しべは1本です。種子は鮮やかな青色です。
根はところどころふくらんだところがあり、これを干したものを「麦門冬(ばくもんどう)」といい、咳止めや痰きりの薬とします。この根とは別に匍匐茎とよばれる茎も地中にあり、種子でふえるのと並行して栄養繁殖もしています。

2013.7

ハマナデシコ Dianthus japonicus Thunb. / ナデシコ科

  • ハマナデシコの花
  • 熟した果実は十字に裂けて中から種子が出てきます。

本州から沖縄、中国に分布しています。海岸のがけ地や砂浜に生育し、葉は2枚ずつ向かい合って互い違いに出ています。両面には毛がありませんが、葉の周りにだけごく細かい毛があります。花は茎の頂端に集まり、ピンク色で7月ごろから秋まで長く咲きます。一つの花は直径1.5㎝~2㎝、花びらは5枚で先端はぎざぎざです。花のあと直径2㎜位のペラペラな黒い種子ができ、地面にこぼれるとすぐに芽を出します。観察園でも土の上はもちろん、ブロックの隙間などからも芽生え、発芽率はかなり高いです。
小さな苗はロゼットとよばれる、地面にぺったりとはりついた状態で冬を越し、春になるとたくさん枝分かれし高さ50㎝ほどの株立ち状になります。多年草とされていますが、冬の寒さで枯れることもあります。

2013.7

ホルトノキ Elaeocarpus sylvestris (Lour.) Poir. var. ellipticus (Murray) Hara / ホルトノキ科

  • ホルトノキの花
  • 葉裏の表皮を染色したもの。丸いのは気孔

照葉樹林に生える常緑(冬も葉が落ちない)高木。照葉樹林とは、暖かい地方にできる常緑の木が多い林のことで、葉の表面が陽の光を反射して照るようにみえるのでこのような名前がついています。ホルトノキは本州の千葉県以西、四国、九州に分布しています。
ホルトノキは、7~8月に白い花を咲かせます。果実が一見オリーブと似ていて、オリーブの木を「ポルトガルの木」という意味で名付けようとしたところ、まちがってホルトノキにその名をつけてしまったと言われています。

2012.7

セイヨウミツバチ Apis mellifera / ミツバチ科

  • セイヨウミツバチ
  • セイヨウミツバチの頭部とその拡大

体長13mm程度、腹部の上部が黄色く、腹部の縞模様がニホンミツバチと比べると薄いです。これでだいたい区別がつきますが、詳しくは後翅を観察します。
ハチミツをとるために海外から持ち込まれ、現在はハウス栽培される農作物の受粉作業に多く利用されています。
働きバチはすべてメスです。オスもいますが女王バチと交尾するためにいるので少数で働きません。花粉とはちみつを与えられたメス幼虫は働き蜂に、ローヤルゼリーを与えられた幼虫は女王バチとなります。 電子顕微鏡でみると、複眼にも毛があるのがよく分かります。

2010.7

スイレン Nymphaea sp. / スイレン科

  • スイレンの花
  • スイレンの花粉

世界各地に約40種が分布するといわれています。観察園には白、黄、ピンクのスイレンがあります。ハスとよく似ていますが、スイレンの葉には切れ目があり、全て水面に浮かぶ葉で、水ははじきません。花も水面に浮かぶように咲きます。ハスは成長すると葉が水面から立ちあがります。花も水面から高いところに咲きます。
スイレンの花粉はおわん型をしています。まわりにはねっとりした物質がたくさんついています。陸上の植物には見られない構造です。

2010.7

ナワシログミ Elaeagnus pungens / グミ科

  • ナワシログミの葉の裏と表
  • ツルグミの鱗片毛

植物にも毛が生えています。観察園にあるウツギやグミの葉の表面を手でなでてみると、ガサガサしています。これは、葉の表面のあるごく細かな毛のためです。
グミの葉は裏の色と表の色がずいぶん違いますが、これも毛によるものです。グミの葉の裏を電子観察すると、たくさんの菊の花のような毛(鱗片毛)を見ることができます。

10月のナワシログミはこちら

2009.7

コミカンソウ Phyllanthus urinaria / コミカンソウ科

  • コミカンソウ

畑や路傍に生える草で、たくさん並んだ実が小さなミカンのように見えるので、この名前がついています。世界の暖温帯から熱帯にかけて分布し、日本では関東以西で見られます。
中国では珍珠草と呼び、解毒剤として腸炎や伝染病・尿路の感染などに処方するそうです。
昔はトウダイグサ科に入れられていましたが、最近は独立したグループにされています。

2008.7

マサキ Euonymus japonicus / ニシキギ科

  • マサキの花
  • マサキの葉の裏側

生け垣などとして植えられますが、野生では海岸近くの林に生えます。北海道南部から琉球諸島まで、また、中国・朝鮮に分布します。園芸品には、葉に斑(ふ)が入る品種や、黄色い葉の品種などがあります。
中国では、根を「調経草」という名で呼び、月経痛や月経不順などに処方したり利尿に用いるそうです。

2008.7

ホルトノキ Elaeocarpus sylvestris / ホルトノキ科

  • ホルトノキ
  • オリーブの木

一年を通して赤く紅葉した葉が見られるのが特徴です。
名前の由来はかつて平賀源内がオリーブの木と勘違いしてホルトノキをポルトガルノキと紹介し、それがなまったものと言われています。
材は器具や建築に利用され、樹皮や葉はタンニンを多く含み、黒褐色の染料として利用されます。神社によく植えられている木で、庭木や街路樹にもよく利用されます。

2007.7

ビナンカズラ Kadsura japonica / マツブサ科

  • ビナンカズラの花
  • ビナンカズラの葉の表皮細胞

日本の野山に広く生える、常緑のつる性植物です。かつては茎や枝から取れる樹液を男性の整髪料として使いました。漢字では「美男葛」と書きます。
秋には直径7ミリくらいの丸い真っ赤な実を球形につけます。この実をつけた姿を観賞するために、盆栽としてもよく栽培されるようです。
紫の写真は葉の表皮細胞の一部を染色したものです。

2007.7

ネムノキ Albizia julibrissin / マメ科

  • ネムノキの花
  • ネムノキの花粉

夕方になると葉を閉じて、眠っているように見えます。
ネムノキの花粉は花粉塊と呼ばれ、この写真も、ひとつに見えますが、実は16個の花粉が集まっています。

2006.7

ヒメジョオン Stenactis annuus / キク科

  • ヒメジョオンの花
  • ヒメジョオンの花粉

北アメリカ原産の帰化植物で、日本中いたるところに見ることができます。
よく似たハルジオンがありますが、これは茎を折ってみると中空なので、区別できます。

2006.7