タンキリマメ Rhynchosia volubilis Lour. / マメ科
本州、沖縄、朝鮮、中国南部、ベトナム、フィリピンに分布するつる性の多年草。海岸、日当たりのよい原野、林縁などに生育します。ツルは日当たりを求めて樹木に絡みつきながら上へとよじ登ります。葉や茎には黄褐色の軟毛があり、茎の毛は下向きです。葉には毛と共に黄褐色の腺点がちらばっています。漢字では「痰切豆」と書き、煎じて飲むと痰が切れると言われたそうですが現在の利用は民間薬程度のようです。
花は7~10月、黄色の小花が5~20個ずつまとまってつきます。一つの花は1㎝ほどで、葉の陰に隠れてあまり目立ちません。花の後は種が2つほど入った豆のさやをつけます。さやの長さは1~2㎝、種は長さ5㎜ほどの楕円形です。熟すとさやは赤くなり裂けますが、中の黒色の種子はさやのふちについたままでよく目立ちます。これは「二色効果」と呼ばれるもので、対比する2色を並べることにより一層目立たせ、鳥に食べてもらうことを狙っています。最初は観察園内でも1か所でしか見られなかったのですが、徐々に生育場所を拡大しています。どうやらタンキリマメの思惑どおりのようです。
2024.1