1月の植物

ナガバジャノヒゲ Ophiopogon japonicus (Thunb.)Ker Gawl.var.umbrosusMaxim.  / クサスギカズラ科

  • ナガバジャノヒゲの種子
  • ナガバジャノヒゲ全体 こんもりと茂る

北海道から九州、朝鮮、中国、台湾に分布し、山の林床に生える多年草。庭園の下草に用いられるジャノヒゲの変種です。
ジャノヒゲは地下茎を出して横に増え広がりますが、ナガバジャノヒゲには地下茎がない、またはあってもごく短いので横には広がらず育ち、こんもりと茂ります。
葉をかき分けると根元直径1㎝ほどのコバルトブルーの種子を見ることができます。
7月頃に白や薄紫色の花が咲きますが、こちらも葉に隠れがちなのでよほど注意してみないと気が付きません。
「果実」ではなく「種子」と呼ぶ理由は、ジャノヒゲの仲間は果皮(果実の皮)がごく薄く、種子が育つ途中で破れたり縮れてなくなってしまい種がむき出しで成熟しているためです。種皮にはやや弾力があります。
葉をかき分けないと見つけられませんが、鳥たちは上手に食べているようです。

2022.1

ホソバワダン Crepidiastrum lanceolatum (Houtt.) Nakai / キク科

  • ホソバワダン
  • 花の拡大

島根、山口以南に自生する多年草。日当たりのよい海岸の岩の上に生えます。先が丸くへら型の葉は、地際に放射状にまとまってつきます。茎を抱いているのがワダンとの違いです。葉は黄緑色でやわらかですが、冬の寒さで枯れることはありません。10~1月ごろ花茎を立ち上げ、上部に直径1㎝ほどの小さな黄色い花を多く咲かせます。花を咲かせた後は枯れると言われていますが、観察園にある株は屋外で冬を越し、毎年花を咲かせて長く生き残っています。茎の下の方は木質化しています。タンポポの綿毛のような毛を持った種子ができるのですが、株数が少ないので観察園での結実はまれです。

独特の苦みが沖縄では好まれて、「ニガナ」「ンジャナ」と呼ばれ食用にされています。栽培もされます。胃腸の諸症状に効く薬草としても用いられているようです。

2017.1

スイセン Narcissus tazetta L. var. chinensis M.Roem / ヒガンバナ科

  • スイセン
  • 花の拡大

関東以西の海岸に生育する多年草。名所と言われる群生地もたくさんあり、いかにも日本の植物のようですが、自生地は地中海沿岸やアジア中部・中国です。シルクロードを渡って古くに日本に伝わったと言われています。紀元前からギリシアの詩に読まれて親しまれ、多くの品種があります。

秋深まると葉を出し、40~60㎝の花茎を出して、先端に房状に数個の花をつけます。スイセンには花びらのほかに、中央にカップ状の副花冠と呼ばれる花びらを持ちます。花弁や雄しべが変化したものと言われています。

全草に毒がある有毒植物です。毎年ニラやタマネギと間違えてスイセンを食べ、中毒になる事故が報告されます。野生のニラを採集するときにはよく注意しましょう。

2017.1

ダイオウショウ Pinus palustris Mill. / マツ科

  • ダイオウショウウ
  • 左クロマツ、右ダイオウショウの毬果

北アメリカの東南部が原産地で、「大王松」という名の通り、現地では高さが40m以上になることもあるそうです。日本では花材に使われたり、公園などに植栽されています。30~40㎝にもなる葉が3本ずつ束になってつき、しなっています。日本にあるマツの葉は2本や5本で一組です。松ぼっくりと言われる果実は、正しくは毬果(きゅうか)といい、ダイオウショウの毬果は長さ15~25㎝と巨大です。とげがあるので拾うときには気をつけましょう。

観察園のダイオウショウは、教養部生物学教室のコケの専門家髙木典雄名誉教授が福岡県の志賀島で採取したもののようです。種子から育てた物か、苗木を採って植えたものかは分かりませんが、現在高さ15m位に成長し、松ぼっくりをたくさんつけています。

2016.1

ノグルミ Platycarya strobilacea Siebold et Zucc. / クルミ科

  • ノグルミの毬果
  • ノグルミの花(雄花)

東海地方から西の、四国、九州の日当たりのよい林縁に生える落葉高木。朝鮮、台湾、中国大陸にも分布します。果実は松ぼっくり状で食べる部分はありません。売られている食用のクルミはペルシャグルミやテウチグルミ、両者の交配種であるシナノクルミが多いとされます。葉は小さい葉が向かい合って羽根のようにつき、先端は1枚だけついて小さい葉は奇数で構成されています。葉は互い違いにつき、初夏に新しい枝の先に花をつけます。雌雄異花で長さ10㎝ほどのしっぽのような雄花をたくさんつけ、中心に1.5~2㎝の楕円形の雌花がひっそりとあります。

クルミは自分の花粉が自分の雌花につかないように、雄花と雌花の開花する時期をずらしています。雄花が先に咲く個体と雌花が先に咲く個体があるので受粉には困りません。

2016.1

ノイバラ Rosa multiflora Thunb. / バラ科

  • ノイバラの果実
  • ノイバラの花(左、2013.5月)と若い果実(右、2011.9月)

日本、朝鮮に分布する落葉低木で、長く伸びてつるのようにもなります。山野の河岸などに普通に見られ、大学内でも見られます。高さは2mくらい、他の木や草にとげを引っかけて斜めにのび広がると更に大きくなることもあります。一つの葉は小さな葉が7~9枚集まり、鳥の羽状につきます。茎に近い部分には托葉という小さな葉があります。ノイバラの托葉は櫛のように細長く裂けています。花は5~6月、葉の腋から直径2㎝ほどの小花が数個まとまって咲きます。花びらは5枚で、いい香りがあります。秋から冬に赤くなる果実は直径6~9mm、漢方名で営実(えいじつ)とよばれ、下剤や利尿剤として使われます。ノイバラの果実エキスは肌によく、化粧品にも利用されているようです。バラの増殖は主に接ぎ木、挿し木、芽継ぎによって行われており、原種であるノイバラは台木に用いられています。

2014.1

マサキ Euonymus japonicus Thunb. / ニシキギ科

  • マサキの果実
  • マサキの花(2012.6月)

海岸近くの林に生える常緑低木で日本、朝鮮、中国に分布しています。排ガスや刈り込みに強いので、街路樹や庭木や生垣にもよく利用されています。色々な品種もあり、葉の周りに白や黄色で縁取りのあるもの、葉色が黄緑色のものなどがあります。花よりも主に葉を楽しむ樹木で、葉は楕円形で厚みがあり、皮のような光沢があります。葉の周りはゆるやかなギザギザです。6,7月に白色の小花を咲かせますが、一つの花の直径は7mm位、気がついたら咲いているという感じです。でも冬に赤くなる果実は、熟すと4つに裂けて中からオレンジ色の種子が見えて目立ちます。種子は鳥たちの冬の食糧となり、オレンジ色の皮だけが消化されて、種子はフンと一緒に排出されることであちこちに散布されます。

2014.1

サザンカ Camellia sasanqua Thunb. / ツバキ科

  • 白い花をつけるサザンカの品種。野生で生えるサザンカも花は白い。園芸では、ピンクの花をつける品種もよく見かける。

漢字では山茶花と書きます。山口県から九州・沖縄に分布します。ツバキに似ていますが、サザンカは晩秋から初冬に咲き、ふつうはツバキより早く咲きます(ただし花期は品種によって異なります)。また、ツバキは花が終わると花ごと落ちますが、サザンカはふつう、花びらがバラバラに散りながら落ちて 終わります。ツバキとは雑種を作ることもあります。江戸時代から多数の園芸品種が作られ、いまでも300近い品種があります。園芸のほか、以前はツバキと同じように種子から取れる油を使ったり、材を器具類に用いてきましたが、最近は利用が少ないようです。

2013.1

カミヤツデ Tetrapanax papyrifer / ウコギ科

  • カミヤツデの花
  • カミヤツデの花粉

台湾や中国南部が原産で、暖かいところでは常緑です。観察園では霜の降りる日が何日かあると地上部は枯れ、春になると新しい葉が出てきます。昔は茎の中の白い部分を通草紙という紙にしていました。

花粉はラグビーボール状で、縦に3本の切れ目があります。切れ目の中心は少し盛り上がって突起となり、中から何か出てきているのが分かります。ここから花粉管が伸長するものと思われます。カミヤツデの花粉の構造は一般のものと比べ弱いのか、電子顕微鏡で撮影している間にへこんでしまいました。

2011.1

ネコハエトリ Carrhotus xanthogrammma / ハエトリグモ科

  • ネコハエトリのメス

大きさは7mm前後、日本全土に分布して都市でもよく見かけるクモです。これはメスだと思われます。木の皮の内側で越冬していました。アミを張らないタイプのクモで、草の葉の上を歩き回ったり待ち伏せしたりして虫をとらえます。オスは求愛ダンスをしてメスを呼び寄せます。
写真は頭部と足の拡大です。クモには8つの単眼があります。毛のまわりにはかぎ針のような突起があり、体表には靴底のような波状の模様がついているのが よく分かります。

2011.1

カトレア Cattleya sp. / ラン科

  • カトレア

観賞用のランの中でもっとも人気の高い仲間の一つで、「ランの女王」とも呼ばれます。
熱帯アメリカ原産で、野生のものは約40種あります。その多くは木の上で育つ着生植物です。
観賞用のほとんどが園芸品種として改良されたものです。違う種同士をかけ合わせたり、違う属とかけ合わせた品種もあります。多くの品種が冬に咲き、花の少ない時期の私たちの目を楽しませてくれます。

2009.1

アオキ Aucuba japonica / アオキ科

  • アオキの実
  • アオキの葉の表皮細胞

常緑の低木で、関東より西の本州・四国に分布します。耐寒性・耐陰性があり、庭木として植えられます。以前はミズキ科に入れられていましたが 最近の分子系統学的研究で、単独のアオキ科、またはアメリカに分布するガリヤ科に属するとされました。中国のトチュウという木も近い仲間だそうです。
紫の写真は葉の裏側の表皮を染めたものです。

2009.1

マンリョウ Ardisia crenata / ヤブコウジ科

  • マンリョウの果実
  • 白実のマンリョウ

暖地の林内に生える常緑低木で林の中のあまり日の当たらない所に生育します。
「万両」という名前から縁起物として庭に植えられたり、正月の床飾りに使われたりします。園芸品種も作られ多くの愛好者がいます。赤い果実が一般的ですが黄色や白色の果実ができるものもあります。
中国では朱砂根(しゅさこん)と呼ばれ、根を咽頭炎、吐血、胃痛に、また鎮痛解熱、解毒などにも用いられます。

2008.1

ナンテン Nandina domestica / メギ科

  • ナンテンの実
  • ナンテンの葉の表皮細胞

日本では暖地の林内に自生し、中国、アジアにも自生します。
ナンテンという名前は中国名の「南天燭」の略で、「難を転ずる」にも通じています。日本では古くから縁起のよい木として魔よけとして庭に植えたり、お祝い事の膳に葉を添えたりします。実には咳止め作用、葉には殺菌作用があり、「南天実」の名で薬用植物として利用されています。
紫の写真は葉の表皮細胞の一部を染色したものです。

2008.1

ナンテン Nandina domestica / メギ科

  • ナンテン
  • ナンテンの花粉

6月に、雨にも負けず、白い花を咲かせます。
「ナンテン」は「難を転じる」と言うことより、吉祥柄に用いられたり、お正月に生けたり、庭の鬼門に植えたりします。

2007.1

ナギイカダ iRuscus aculeatus/i / ユリ科

  • ナギイカダの仲間
  • ルスカス・ヒポフィルム(ナギイカダの仲間)の花粉

葉の中心から花が咲いているように見えますが、枝が葉のように変化したもので、葉は退化し鱗片状になっています。
花は数ミリと小さく、目立ちませんが秋にきれいな赤い実をつけます。

2007.1