シュンラン Cymbidium goeringii (Rchb.f.) Rchb.f. / ラン科
北海道から九州と朝鮮、中国からヒマラヤ西部に分布する常緑の多年草。暖温帯のやや乾いた林床に生えます。葉は根元から束になって生え、細長く20~50㎝、縁には細かいギザギザがあり、先はとがっています。春になると花茎を立ち上げ黄緑色の花を頂点に一つ、まれに複数つけます。花茎は白くやや肉質で高さ10~25㎝。数個の少し透き通った膜質鞘状葉に包まれています。
萼片と側花弁は似たような形で黄緑色を帯びており、唇弁は白色で大きく、赤紫色の斑点があります。これが別名「ほくろ」と言われるゆえんのようです。ラン科はおしべとめしべが合体した「ずい柱」を形成します。先端には葯があり、中には花粉塊が2つ入っています。
花粉も粉ではなくて、直径1㎜ほどの塊です。昆虫が蜜を求めて花の中にもぐりこんだ時、粘り気のある粘着体と共に花粉塊は昆虫の背中にくっつきます。次に訪れた花の中にもぐりこんだとき、花粉塊がめしべにくっつく仕組みになっています。たまに紡錘形の果実ができます。成熟すると縦に裂けて、中からほこりのような細かい種が飛びだします。
2025.4