ミゾソバ Persicaria thunbergii (Siebold et Zucc.) H.Gross / タデ科
北海道から九州、朝鮮、中国、ウスリー、サハリン、アムールに分布する一年草。水湿地に生えます。高さ30~100㎝、茎の下の方は地面を這い、地面についた節からは根が出ます。上部は立ち上がりますが、茎にある逆向きの小さなとげで他の植物に引っかかるようにして伸びることもあります。
葉はほこ形で、先は尖り基部に近い部分で少しくびれたのち張り出しています。互い違いに出ます。葉の表も裏も剛毛と細かい星状毛があり、葉のふちの毛はよく目立ちます。葉柄には翼がつくこともあり、同じく毛もあります。葉が変化してできた托葉は茎を包み、縁は葉のようになることもあります。
花は7~10月。茎の頂上や上部に小さな花が集まっています。花びらに見える部分はがくです。がくは5つに裂け、下部は白色、上部は桃色、花の長さは3~4㎜です。開花が終わってもがくは果実を包んで長く残ります。茎の下部から出た枝からは閉鎖花をつけることもあります。これは花の一部、または全部が開かなくても内部で自家受粉して果実をつくってしまう現象です。多様性は望めませんが確実に種子をつくって生き延びる方法の一つと言えます。
2023.10