2月の植物

ヒメガマ Typha domingensis Pers. / ガマ科

  • 風で飛ばされるヒメガマの果実
  • 一つの茎から2つの果穂が出たヒメガマ

北海道から沖縄の湖沼、ため池、水路、休耕田などに生育する抽水植物です。
高さ1~2mで細長い葉を持ち、地下茎を出して広がります。花は6~7月で、ソーセージみたいなものは細かな花の集まりです。下が雌花の集まり、上は雄花の集まりで、雌花の花穂と雄花の花穂の間にすき間があり、緑色の茎が見えるのがヒメガマの特徴です。花後は雌花穂だけ残り、茶色く太くなります。秋から冬にかけて十分に果実が熟すると、風などの刺激で花穂はほぐれ、綿毛のついた小さな果実は風に飛ばされて広がっていきます。観察園のものはなぜか花穂が2つくっついたものが多くできます。

2021.2

カンアオイの仲間 Asarum sp. / ウマノスズクサ科

  • オナガカンアオイの仲間(矢印は花)
  • 色々な模様の葉(上) ヒメカンアオイの花の断面(右)

低地や山地の広葉樹林下に生える多年草。東アジアである日本、台湾、中国、朝鮮、ベトナム北部に多く分布しますが、北米やヨーロッパにもあります。葉を楽しむ古典園芸植物で、現在でも一部の人には人気があります。徳川家の家紋である葵の紋はフタバアオイが使われていますが、これもカンアオイの仲間です。

非常に背丈の低い植物で、茎は地上をはい、節より根を伸ばします。2~4月に地面すれすれのところでひっそりと花を咲かせます。花の色も褐色が多く目立たないので、葉をかき分けて注意深く見なければ分かりません。花びらのように見えるのはがくで、本当の花びらは痕跡化しています。つぼ状になったがくの内側には網目模様があるものが多いです。雄しべと雌しべは花の中心に集まっています。

変異が多く、分類の難しい植物です。観察園にもよく見れば色々な種類のカンアオイがありますが、名前が確定できていないものが多くあります。

2017.2

マメキンカン Citrus japonica Thunb. 'Hindsii' / ミカン科

  • マメキンカン
  • マメキンカンの花(左) と果実を横切りにした断面(右)

中国が原産の常緑低木で、名前のように豆のように小さな果実がつきます。キンズ(金豆)とも呼ばれ、主に盆栽として利用されています。樹高もせいぜい1~2mです。

2~5㎝で先のとがった卵型の葉をだし、枝にはたくさんのとげがあります。花は8~9月。白色で直径1㎝ほどしかありません。果実は冬にオレンジ色に色づきます。直径1㎝の球形で、重さも1g程度しかありません。果実を半分に切ってみると、薄い皮の内側には種子ばかりで果肉はみられません。やや苦みがありおいしくもないので、やはり観賞用となります。食糧の少ない冬の間でも長く枝に残っているところから、鳥も好まないようです。寒さに弱いとされますが観察園では野外で元気に育っています。

2017.2

ディネマ ポリブルボン Dinema polybulbon (Swartz) Lindl. / ラン科

  • ディネマポリブルボンの花
  • 横から見た姿

キューバ、ジャマイカ、メキシコ、グアテマラ原産で、一属一種の多年草。小さなランで、高さは5~6㎝です。性質は至って強健で、匍匐する茎から次々と涙型のバルブを出して広がります。現地はやや標高が高く、常に滝しぶきが当たるような場所に生育し、樹木に着生しています。茎から出る根も旺盛で、ヘゴにつけるとあっという間におおい尽くし、さらにヘゴから飛び出してもじゃもじゃです。バルブの大きさは2㎝ほどで、頂上から先のとがった細長い2枚の葉を出します。冬には葉の付け根から花茎が出て、直径2~3㎝の花を一つづつけます。花は小さいですが、次々とたくさん咲き、花びらの黄色と褐色のコントラストが美しいランです。

2016.2

ジュズサンゴ Rivina humilis L. / ヤマゴボウ科

  • ジュズサンゴの果実
  • ジュズサンゴの花

北アメリカの南部から中央・南アメリカが原産地の多年草です。寒さには弱いので冬は温室に入れますが、原産地では年中花が咲いています。小笠原では帰化して野生化しています。一属一種で近縁のものはいない植物です。先のとがった卵型の葉を出しながら枝分かれし、根元の方は木質化します。高さは60㎝ほど、茎の先に房状に白い細かな花がたくさん咲きます。一つの花は直径3mmくらいで、花びらのように見えるのはがくで、4枚あります。雄しべも4本、めしべは1本です。花が終わるとがくは緑色になります。果実は直径5mmほどの球形で、白から桃色、赤色とだんだん色づいてゆきます。園芸種には果実の色が桃色、白色、黄色などもあるようです。果実の中には黒い種が1つあります。果実を長く楽しむことができ、冬の温室をにぎやかにしてくれます。

2016.2

ハンノキ Alnus japonica (Thunb.) Steud. / カバノキ科

  • 開花期のハンノキ
  • ハンノキの花(右)と昨年の果実(左)

日本、朝鮮、中国、台湾などに分布する落葉低木で、湿地や川筋など湿った所を好みます。昔は田んぼの畔に植えて、刈り取った稲を乾燥させるためのはさ木としても利用されました。根には放線菌が共生していて空気中の窒素を栄養分に変えることができるので、湿地のような肥料分が少ない土地でも生育することができます。生育が早く、高さ15m、幹の直径は60㎝にもなるそうです。花は葉が出る前に咲き、枝の先に雄花、葉の腋に雌花がつきます。だらりとぶら下がって目立つのが雄花です。長さ7㎝位になり風に吹かれて花粉を飛ばします。雌花は小さく4~5mmで赤紫色をしています。秋になると長さ1.5~2㎝ほどの卵型で松かさに似た果実ができます。材は建築や家具、器具などに使われ、樹皮からは染料をとることができます。

2014.2

カンザキアヤメ Iris unguicularis Poir. / アヤメ科

  • カンザキアヤメ
  • カンザキアヤメの花の内部

地中海原産の常緑多年草。「寒咲き」という名の通り、冬に花が咲きます。高さは20~30㎝くらい、幅1㎝ほどの細長い葉が地際から出ています。花は2月中旬ごろから咲き始め、淡青紫色で大きい花びら3枚の中心は黄色と白の模様があります。この外側に大きくそり返る3枚の花びらはがくが形を変えたものです。花の中心をさらにのぞいてみると、周りがギザギザした小さな花びらのようなものがあります。これが花柱で黄色がある花びらをめくると雄しべが見えます。その1㎝位上部に青紫色をしたひだがありますが、これが雌しべです。一つの花に3本に分かれた花柱があり、その下に子房がついています。 観察園の株はまだ大きくないのでポツリポツリとしか咲きませんが、冬の観察園をいろどってくれます。

2014.2

ツバキ Camellia spp. / ツバキ科

  • 写真はワビスケと呼ぼれる品種で、学名はC. wabisukeです。日本では野生のものはみられず、来歴はよくわかっていません。種子はできません。

日本原産の常緑樹です。江戸時代には名古屋をはじめとする各地で園芸品種がたくさん作られ、今も多くの庭園で栽培されています。西洋でもツバキは人気があり、八重咲きのものなどが欧米の庭でみられます。
「ツバキ」と呼ばれることのある日本の野生種には、C. japonicaという学名の「ヤブツバキ」のほかに、C. rusticanaという学名の「ユキツバキ」があります。日本の太平洋側にはヤブツバキ、日本海側の多雪地帯ではユキツバキが見られますが、ときに雑種も報告されています。

2013.2

ソシンロウバイ Chimonanthus praecox ¸Concolor¸ / ロウバイ科

  • ソシンロウバイの花
  • ソシンロウバイの花粉

中国中部原産の落葉低木で日本には17世紀初めに渡来しました。
漢字では「素心蝋梅」です。花がロウのような透明感のある黄色で、旧暦の12月である蝋月に花が咲くことが由来のようです。
基本種ロウバイは、花の内側が暗紫色です。 ソシンロウバイはロウバイの栽培品種の一つで、花が内側も黄色でロウバイよりもよく香るので、冬の花木として庭木によく利用されています。
花粉の形は丸みを持った長方形で、孔が縦に2本あるのが分かります。

2011.2

セミの卵 Cicadidae / セミ科

  • セミの卵
  • 卵の拡大

観察園のセミは主にアブラゼミとクマゼミですが、残念ながらどちらなのかは卵だけでは判断できません。剪定作業をしていると、よくささくれだった枯れ枝を見かけます。これはセミの産卵跡です。中には2ミリくらいの白い卵が産みつけられています。翌年の6月頃に孵化した幼虫は地上に落ち、土の中にもぐって長い地下での生活が始まります。

セミの卵の表面は、一見なめらかそうに見えますが、倍率を更に100倍あげると、細かい穴がたくさんあるのが分かりました。

2011.2

オオイヌノフグリ Veronica persica / ゴマノハグサ科

  • オオイヌノフグリ

日本のほぼ全国に分布し、真冬でも、日差しのあたる畑の畔などで青い小さな花を咲かせています。
西アジアからヨーロッパ原産で、明治中ごろ日本に帰化しました。それまで日本ではイヌノフグリが多く見られたそうです。

イヌノフグリは、果実の形が犬の「ふぐり」(=睾丸)に似ていることから名前が付きました。一方、オオイヌノフグリの実は平たいので、名前の由来を想像しにくいかもしれません。

中国では、解毒や腎臓病の治療などに使われることもあるそうです。

5月のオオイヌノフグリはこちら

2009.2

トベラの一種 Pittosporum sp. / トベラ科

  • トベラ
  • トベラの葉の表皮細胞

トベラは常緑の低木で、暖かい地方の海岸沿いにみられます。2月には花も実もありませんが、節分に使われるので今月紹介します。
昔は節分に、トベラの枝を門扉にさして魔よけとしました。名前も「扉(とびら)」に由来するといわれています。白い花が初夏に咲き、赤い種の入った実は秋に熟します。
観察園には植物形態学の研究のため、海外のトベラの仲間が植えられています。右の写真は葉の裏側の表皮を染めたものです。

2009.2

ウメ Prunus mume / バラ科

  • ウメの花

種名は江戸時代のウメの呼び方「ムメ」に由来します。
原産地は中国ですが、詳しくは分かっていません。花も枝ぶりも観賞の対象とされ、観賞用の品種(花梅)は白、桃、紅色などがあり、一重、八重咲き、早咲き、遅咲き、しだれなど多彩です。
サクラは日本の国花で数では1位ですが、絵や工芸、歌に詠まれているのはウメの方が圧倒的に多く、中国文化の影響を受けていると思われます。
食用に果実を採るものは実梅と呼んで区別されています。青い実には青酸配糖体が含まれているため、生食はせず、梅干、梅酒、ジャムやエキスなど加工してから利用します。

2008.2

コショウノキ Daphne kiusiana / ジンチョウゲ科

  • コショウノキの花
  • コショウノキの葉の表皮細胞

関東以西の暖地に自生する常緑低木です。
見た目は白いジンチョウゲとそっくりですが、よい香りはありません。ジンチョウゲと比べると枝数は少なく、花弁の外側には毛が密生しています。 花後、直径1cmくらいの赤色の実を数個ずつまとめてつけます。
紫の写真は葉の表皮細胞の一部を染色したものです。

2008.2

ニホンズイセン Narcissus tazetta var. chinensis / ヒガンバナ科

  • ニホンズイセンの花
  • スイセンの花粉

早春にいち早く咲く香りの強い花です。
実は帰化植物で、原産地は地中海沿岸です。中国より僧侶によって運ばれました。茶花にも使われます。

2007.2

ウメ Prunus mume / バラ科

  • ウメの花

サクラやリンゴと同じバラ科に属します。
果実はなじみが深く、梅干しや、梅酒としてとして重宝します。また、吉祥柄(縁起がよいがら)としても用いられます。

2007.2

ハッサク Citrus hassaku / ミカン科

  • ハッサク
  • ハッサクの花粉

5月に香りの良い、白い花を咲かせます。
冬の寒さにも耐え、ようやく収穫の時期をむかえました。花の少ないこの時期にひときわめだつ木です。

3月のハッサクはこちら

2007.2