イヌカタヒバ Selaginella moellendorffii Hieron. / イワヒバ科
岩の上や樹幹に生える常緑のシダ植物。日本では石垣島、西表島に生育するもので、現地では絶滅危惧種となっていますが、逸出したものが本州では各地で増殖しているようです。
地上に見えている姿が一つの葉のように見えますが、うろこのように見える小さな葉それぞれが茎につく一つの葉です。地面を這う地下茎から地上茎が立ち上がっていて、葉柄のように見える部分も茎です。茎の両側に開いて着く腹葉と、茎に圧着するように着く背葉の2種類があり、背葉にはふちどるように白膜があるのがイヌカタヒバの特徴です。また背葉の先は細長くのぎ状になっています。似ているカタヒバと見分けるポイントです。
暖かい時期は緑色ですが、寒くなると赤茶色っぽく紅葉することもあります。小さな枝の先端には胞子のうが集まった胞子のう穂(すい)ができます。殖芽(無性芽)を作ることもあります。殖芽はつくしの頭(胞子のう)の部分に似て、さわるとポロポロと落ちます。遺伝的な多様性には乏しいですが、手っ取り早く仲間を増やすには効率が良い方法といえます。
2024.2