9月の植物

イヌサフラン Colchicum autumnale L. / イヌサフラン科

  • イヌサフラン
  • イヌサフランの花の拡大とイヌサフランの葉

ヨーロッパ中部から北アフリカ原産の秋植え球根。コルチカムとも呼ばれています。サフランと名がついていますがサフランはアヤメ科で全くの別物です。
9月下旬から10月に花だけが先に咲くのですが、水や土がない机の上などでも花が咲くという珍しい性質があります。
花の高さは10~30㎝、薄ピンク色の6枚の花びらがあります。花が枯れたあと葉が出てきます。
長細い葉は長さ20~30㎝になりますが、6月頃には枯れてなくなります。花が大きく見ごたえがあるので、色々な園芸品種が作られています。
球根にはコルヒチンという有毒成分を含み、葉にも毒があります。コルヒチンは染色体倍加にも使われる成分で、使い方によって薬にもなりますが強い毒性があります。
きれいな花を咲かせますが、タマネギや山菜と間違えて食べ中毒する事故が多発し、場合によっては重篤化することもある、一歩間違えば危険な植物です。

2021.9

フヨウ Hibiscus mutabilis L. / アオイ科

  • フヨウ
  • フヨウの果実

中国原産の落葉低木。日本の暖地では野生化しています。高さ1~3m、葉は五角形で周りには浅いギザギザ、先の方が3つから5つに裂けます。
葉の両面、若い枝には星状毛と腺毛があります。花は7~9月、直径10~13㎝の桃色で早朝に開き、夕方にはしぼむ一日花です。
このころになるとフタトガリコヤガというガの幼虫が発生して食べつくされることもあるので要注意です。
果実は直径2.5㎝ほどの球形で、熟すと5つに裂けて粗い長毛におおわれた種子が露出します。
発芽率はかなり良いようで、あちこちから芽が出てきます。
寒さのため地上部が枯れることもありますが春に新しく伸びた枝の先に花をつけるので、強く刈り込んでも毎年花を咲かせてくれます。
よく似たものにムクゲがありますが、ムクゲの花はフヨウより早い時期から咲き、花はやや小さめ、葉も小さく卵型で3つに分かれています。

2021.9

マルバチシャノキ Ehretia dicksonii Hance / ムラサキ科

  • マルバチシャノキの果実
  • マルバチシャノキの花

千葉県以西、四国、九州、沖縄、台湾、中国と暖かい地方に生える落葉小高木です。樹皮はコルク質で縦に裂けます。葉は広い楕円形をしていて厚く、葉の表は剛毛でざらざらし、裏は短毛が密生しています。紙やすりのようなゴワゴワとした質感で、その感触は一度触れば忘れられません。花は5月ごろ枝先に小花を房のようにつけます。よい香りがあります。その後直径1~1.5㎝の球形で先のとがった果実がたわわに実ります。緑からだんだんオレンジ色に色づいてゆき、濃い緑色に囲まれて目立ちます。果実は食べられる、という記載を見かけたので食してみましたが、少なくとも観察園のものはおいしいとはいえない味でした。  
ムラサキ科は世界に約100属2000種あります。日本に生育するものはほとんどが草本で、木本は数種しかありません。

2016.9

シロスジアマリリス Hippeastrum reticulatum (L’Her). Herb. / ヒガンバナ科

  • シロスジアマリリス

ブラジル原産の多年草。名前の通り、花と葉の中央に白い斑(すじ)が入っています。葉の長さは30㎝くらい、幅6㎝程度でつやと厚みがあります。ふつうのアマリリスは春に花が咲きますが、本種は夏の終わりから秋に咲くのが特徴です。花茎を立ち上げて、ラッパ状の花を5~6花つけます。花びらは桃色に見えますが、近くで見ると桃色の網目模様になっています。たまに果実をつけることがあります。割れると内側は赤く、種子は黒色で大変目立ちます。これは「二色効果」といい、このような配色で目立たせて、動物に存在をアピールしています。動物に食べてもらい、消化されなかった種子がフンと共に落とされることで、種子をより遠くまで拡散させようという植物の戦略なのです。

2016.9

ジンジャーリリー Hedychium sp. / ショウガ科

  • ジンジャーリリーの花
  • 一つの花の拡大

インドを中心に分布している半耐寒性の多年草で、花壇や切り花用に栽培されます。細長くて先のとがった葉のへりは波打ち、交互に向かい合うようについて、高さ2mくらいになります。夏の終わりになると茎の頂上から花茎を出し、穂状にたくさんの花をつけます。花は数個ずつ緑色の苞に包まれていて、一つの苞の中から花が一つずつ順番に咲きます。ジンジャーリリーの花には雄しべが1本しかありません。この雄しべに包まれてめしべがあり、雄しべの先端からちょっとだけ顔を出しています。他の雄しべはというと1本は退化、残りは白い花びらに変化しています。糸のように垂れ下がっているものが本当の花びらです。開花期にはあまり香りでいっぱいになります。植物全体にスーッとした独特な香りがあり、ショウガに似た塊茎も同じ香りがします。寒くなると地上部は枯れ、地下部だけで冬を越します。

2015.9

コヤブラン Liriope spicata Lour. / キジカクシ科

  • コヤブランの花
  • コヤブランの種子

林の中に生える常緑の多年草。線のように細長い葉が地際からたくさん出ています。葉の幅は4~7mm位、長さは30~60㎝です。地下茎を出してふえ広がり、秋に花茎を立ち上げて薄紫色の小花をたくさん咲かせます。ヤブランとコヤブランの花は似ていますがコヤブランの方が花のつき方がまばらです。冬には黒紫色の種子ができます。果実のように見えますが子房を破って大きくなるので種だけで「実」の部分はありません。観察園にはコヤブラン、ヤブラン、ジャノヒゲ、ノシランがあります。コヤブランとヤブラン、ジャノヒゲとノシランがそれぞれ同じ仲間です。コヤブランとジャノヒゲは見分けがつきにくいこともありますが、コヤブランとヤブランは花は薄紫で種子が黒紫、ジャノヒゲとノシランは花が白色で種子はコバルトブルーなので花と種子があれば見分けやすいです。

2015.9

ノカンゾウ Hemerocallis fulva L. var. disticha (Donn ex Ker Gawl.) M.Hotta / ワスレグサ科

  • ノカンゾウの花
  • ノカンゾウの葉

本州、四国、九州に分布する多年草で、原野や溝のふちに生えています。属名はギリシア語Hemeraの「一日」の意、kallosの「美しい」の意に由来し、花が1日でしぼんでしまうことにちなんでいます。今までユリ科とされてきましたが、DNA解析による分類であるAPG分類体系によって、ワスレグサ科となりました。

冬に地上部は枯れますが、春になると細長い葉を2列に互い違いに出します。花は8月~9月で、70~90㎝の花茎を出して上部でY字に分岐し、全部で10個ほどの花をつけます。花はオレンジ色で内側に八の字状に赤い斑紋があります。

花びらは一重です。ヤブカンゾウはノカンゾウと花の色はよく似ていますが、八重咲きです。どちらも春の若芽や花のつぼみを山菜として利用します。つぼみは薬用としても利用されます。

2013.9

マルバルコウ Ipomoea coccinea L. /

  • マルバルコウの花と果実
  • マメアサガオの花

熱帯アメリカ原産の一年生つる性植物。アジアをはじめ各地に帰化していて、日本には江戸後期に観賞用として導入されました。現在では主に西日本で野生化しているようです。

花は夏から秋にかけて長く咲き続けます。直径2㎝位のアサガオを小さくしたような花は何ともかわいらしいのですが、あっという間に四方八方につるを伸ばして栽培している植物をおおってしまいます。つるは数本集まると大人が引っ張ってもちぎれないくらいの強度を持つので、マルバルコウを引き抜いた時に栽培作物まで抜けてしまったり、マルバルコウに覆われることで収量が減ってしまったりと、農家にとっては悩みの種となる植物です。

そっくりの白花もありますが、これはマメアサガオという別の植物です。観察園で見ている限りではマルバルコウほどの繁殖力はありません。

2013.9

ミョウガ Zingiber mioga (Thunb.)Roscoe / ショウガ科

  • たまには食べてしまわずに花をみてみましょう!

日本では野生化したものもみられますが、原産は熱帯アジアといわれています。ミョウガもナンバンギセルのように、土からとつぜん花が生えていますが、ミョウガの葉は花の近くから生えていて、自分で光合成しています。
ミョウガは、ショウガ科植物の構造をみるのにちょうどよい植物です。たとえば、ショウガ科の多くの植物ではミョウガのように本当の茎は地下にあり、地上にでてきているの は葉の基部(葉鞘:ようしょう)が重なりあったものです。花を分解すると、黄色い花びらは外側の内花被片と内側の唇弁の2つに分かれます。唇弁は、じつは雄しべが変形したものです。機能する雄しべは1本だけで、これは雌しべと一体化しています。雌しべは、雄しべの細い筒を通って上から顔を出しています。

2012.9

ヘクソカズラグンバイ Dulinius conchatus / グンバイムシ科

  • ヘクソカズラグンバイ
  • 吸汁跡

近年日本に侵入した外来昆虫です。1996年に大阪府池田市で初めて発見されました。体長は3mm程度でヘクソカズラに寄生し、葉の裏から汁を吸います。
グンバイムシの仲間は軍配団扇に似ていることからこの名前がついていて、日本に約70種、世界には約1900種が生息しています。
写真は翅(はね)の周りを撮影したものです。毛だと思っていたものには丸い突起がついていました。
ヘクソカズラグンバイに吸汁されたヘクソカズラは、葉が白くかすれています。見かけたら裏をめくってみるとヘクソカズラグンバイがいるかもしれませんね。

2010.9

ヘクソカズラ Paederia scandens / アカネ科

  • ヘクソカズラの花
  • ヘクソカズラの花粉

つる性の落葉植物で、観察園ではフェンスや樹木にからまって、いたるところで見られます。繁殖力旺盛で取り去るのに苦労しています。植物全体に悪臭があるのでこの名がつけられています。
茎は左巻きで、2枚の葉が向かい合ってついています。夏には葉の付け根に白いラッパ型の花をつけます。中心は赤紫色です。別名の「ヤイトバナ(灸花)」は、お灸をすえた後の肌の色に似ている、また花を逆さにするとお灸をすえたように見えるためにつけられたそうです。

2010.9

フウセンカズラ Cardiospermum halicacabum / ムクロジ科

  • フウセンカズラ
  • フウセンカズラの花粉

ツル性の植物で紙風船のような実がなるのでこの名前が付きました。
一度植えると毎年種がこぼれてひとりでに生えてきます。花粉は三角で、四つの花粉孔(溝)があります。

2009.9

キササゲ Catalpa ovata / ノウゼンカズラ科

  • キササゲ

中国原産の落葉高木で、晩夏に実をつけます。
細長い果実がササゲの実を連想させますが、マメの仲間のササゲと違い、種は柔らかな綿毛に両端を囲まれ、風に乗って運ばれます。
昔は材で弓を作り、「梓弓」と呼んだそうです。幹や根の皮は「梓白皮」と呼ばれ、解熱、駆虫、黄疸などに用います。果実は「梓実」と呼ばれ、利尿剤に使われるそうです。

2008.9

ヒガンバナ Lycoris radiata / ヒガンバナ科

  • ヒガンバナの花
  • ヒガンバナの葉の裏側

お彼岸のころ田んぼの畦などを赤く染めるヒガンバナは、縄文時代、食用にするため中国から持ち込まれたと考えられています。
球根をすりつぶして水にさらして毒を抜きます。葉は花の時期には見られず、花が終わってから出てきます。
観察園には赤いヒガンバナのほかに、シロバナヒガンバナも見ることができます。

2008.9

アイ Polygonum tinctorium / タデ科

  • アイの花
  • 生葉で染めた木綿布

藍染料をとる植物として有名な植物で、重要な換金作物として水田や畑でよく栽培されました。
合成染料が登場してからは栽培地が激減し、徳島県が主な産地です。
アイは花が咲く前に収穫し、葉だけを乾燥・発酵させて「すくも」という藍染めの原料を作ります。「すくも」と水と灰汁を一緒に藍がめの中で発酵させることを「藍を建てる」といい、これでやっと染める状態になります。
生葉を使って家庭で簡単に染めることもできますが、残念ながら藍色を出すことはできません。

2007.9

ノシラン Ophiopogon jaburan /

  • ノシランの花
  • ノシランの葉の表皮細胞

アジアが原産で、樹林内に生える常緑の多年生植物です。
夏になると葉の間から平たい茎が出てきて房状の白い花を咲かせます。葉の様子が進物につける「のし」に似ていることからこの名前がついたと言われています。花後は青紫色の丸い実をつけます。
紫の写真は葉の表皮細胞の一部を染色したものです。気孔のある部分とない部分が交互に並びます。

2007.9

ノカンゾウ Hemerocallis fulva / ユリ科

  • ノカンゾウの花
  • ノカンゾウの花粉

花は朝咲いて夕方にはしぼむ一日花です。ヤブカンゾウと同様に春の若葉は食用にもなります。
ハマカンゾウ、ヤブカンゾウとともにとてもよく似ていますが、ハマカンゾウは冬でも枯れず、ヤブカンゾウは八重咲きが多いです。

2006.9

キバナツノゴマ Ibicella lutea / ツノゴマ科

  • キバナツノゴマの花
  • キバナツノゴマの実(左)キバナツノゴマの花粉(右)

葉や花からくさいにおいのする粘液を出す食虫植物です。
写真の種子も11.5cmと大きく、その形はまるでマンモスの牙の様です。

8月のキバナツノゴマはこちら

2006.9