ヒオウギ Iris domestica (L.) Goldblatt et Mabb. / アヤメ科
本州から沖縄、朝鮮、中国、東南アジア、インドに生育する多年草。産地の草原に生えますが、観賞用にも栽培されています。葉は幅2~4㎝、長さは30~50㎝、先はとがり細長い剣のような形です。葉が左右互い違いに出ている様子は檜扇(ヒオウギ)に例えられてこの名が付いています。
花は8~9月、高さ100㎝ほどの花茎が出て先端は数個に枝分かれし、2,3個ずつ花をつけます。一つの花は直径3~4㎝、薄いオレンジ色で暗赤色の斑があります。3本のおしべと先が3つに分かれた1本のめしべがあります。果実は長さ3㎝ほどの楕円形で、秋に熟すと裂けて中から直径5㎜くらいの黒い休憩の種子が露出します。光沢が強く「ぬばたま」、「うばたま」と呼ばれ、和歌では黒いものにかかる枕詞として使われます。冬深まるまでこぼれ落ちずに意外と長く残ります。
アヤメ科の植物の葉は茎を抱くように葉が出ていて、通常は表とされる側(内側)は癒着しているので、目に見えるのはどちら側も葉の裏側です。このように葉の片側しか持たない葉のことを単面葉(たんめんよう)と呼んでいます。
2023.9