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衛中経図

江戸時代後期の鍼灸の名医で、将軍家斉(いえなり)の侍医であった石坂宗哲(いしざかそうてつ、1770〜1841)が 文政8(1825)年に刊行したものです。
図の本体はそれぞれ長さ約125cm、幅約57cm。 右が「榮」(動脈系)と「中経」(門脈系)、左が「衛」(静脈系)を示します。血管図の出典は記されていませんが、オランダのパルへイン(Johan Palfyn)の人体解剖学書1733年刊)とも考えられます。
杉山寛行名古屋大学文学研究科教授の漢文解読によると、石坂は、中国医学の基本原理である経絡(けいらく)説を、西洋医学で明らかにされた血管分布にもとづいて新しく解釈し、 中国医学の伝統的な見方のいくつかを批判しています。経絡とは生命力を伝える仮想的な道筋ですが、彼はこの実体が血管であるとしました。
石坂の数ある著作のなかでも、この『榮衛中経図』はほとんど知られていません。公的機関では、当博物館と千葉大学附属図書館のほか、シーボルト経由でオランダのライデン大学と フランスのパリ国立図書館の、つごう4ヶ所が所蔵しています。
2003年末に名古屋市の医師富田洋氏から当館に寄贈され、修復と解読を進めてきました。